CANINE HILLS BLOG

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ケーナインヒルズ物語(料理のこと)

公開日:2018/09/19

私の頭の中にはいつも苦手な料理のことがあります。
食材の買い物に行くことさえイヤ、料理をするのはもっともっとイヤ。
大嫌いな後片付けも、料理をすることに比べればまだマシなくらいです。

数あるペンションの中には、シェフだった人もいらっしゃいます。
そういう人たちと同じ土俵の上に立つのですからかなり辛いですよ。

ところがどういう訳か、私の料理に対する評価はかなり高く、とても驚きました。
いつもいつも自信がなく、「今日はよくできた」という日はなく、必ずガックリする日々ばかりだというのに。

よく「どこの料理学校を出ていらっしゃるのですか?」と聞かれます。
私はレストランの厨房で働いたこともなければ、料理学校に行ったこともありません。
料理に関しては劣等感の塊で、いつも小さくなっています。

なのに、
「お料理はからっきしダメだとおっしゃっているけど、おいしくてびっくりしました。」
「かなりグレード高いですよ」
「料理を売りにしているところよりおいしいです」
「絶対大丈夫、自信を持ってください」といつも言っていただき、どん底の穴の中からほんの少しずつ、這い上がって行くことができたのかもしれません。

こんなこともありました。
ある時、鰆に掛けるソースを「これとこれと、これを合わせてみたらどうかな?」と、思いつくままにイタリアンなものと日本のものと、それも個性の強い者どうしを合わせてみました。
すると、「生まれて初めて食べる味」になりました。

恐る恐るお客様にお出しすると、「おいしい!」との声が。
この声がたくさん集まったので、春、鰆が出る頃になると、このソースを使った料理を出すことにしました。

中には、
「このソース、食べたことがあります」と言う人がいて、ビックリしました。
「これは私のオリジナルのソースですから、日本中どこを探してもないと思いますが。」と言うと、
「そこのレストランのシェフは本場イタリアで修業をした人です。でもそのシェフのソースより、このソースの方がおいしいです。」

やっぱり私のオリジナルの方がインパクトがあったのかな、と思いました。
「何が入っているか当ててみてください」と言っても、材料のひとつ、ふたつは当たっても、全部当てた人はだれもいませんでした。
このソースは茹でたキャベツや大根に掛けてもおいしい、強烈な印象の残るソースです。

で、みなさんがこんなにもほめてくださるのだから今では料理もイヤでなくなったかというと、やはりキライです。
料理のことを考えるだけで気力が萎えてしまいます。

でも私は母からとてもいい舌をもらいました。
このお陰で料理がキライと言っている割には、みなさんの舌に合うような、まるっきりハズレでもない味に仕上がっているのかもしれません。
うちに来るお客様はほとんど残すことなく、きれいに召し上がってくださっています。
これは本当に嬉しいことです。

以前いたお掃除のSさんは、旅館やホテルなどのお掃除をしてきた人だったのですが、ケーナインヒルズの空の食器を見て、とてもびっくりしていました。
どこでも必ず食べ残しは出るというのに、ここではお客様がきれいに食べられていると。

そしてどういう訳か、ケーナインヒルズには料理好きの人や料理の先生、料亭の女将さんが来られます。
私は比べられてイヤなのですが。

でも今となって思うと、こういう人たちが来てくださったおかげで、ほんのわずかの自信となって行ったのかもしれません。
料理に関しては自信のない私でも、料理のエキスパートである人たちがおいしいと言ってくれるおかげで、「これでいいのだ」という気持ちが心の中で生まれてきたからではないかと思います。

こうして12年間続けて来られたというのも、お客様が温かく見守ってくださり、応援してくださったおかげです。
いつも私の拙い料理を「おいしい」と言って褒めてくれたお客様に本当に感謝しています。

続く

ケーナインヒルズ物語(料理ウツ)

公開日:2018/09/18

昔に比べたらずいぶん慣れてきたと思われる今でさえも、料理のことを考えると胃が痛くなります。
ペット同伴のペンションでは、素泊まりではなく、食事付きの方が喜ばれます。
ペット同伴可で夜まで営業しているレストランは猪苗代近辺ではほとんどゼロだからです。
だから仕方なく料理を作っているのです。

料理嫌いの私は福島に来てからすぐにウツ病になり、精神科に通うことになりました。
この料理ウツは10年間続きました。
ただ単に嫌いというだけでなく、病気になるほど嫌いだったのです。
本当に困ったものです。

でも私はお客様をがっかりさせたくはありません。
だから仕方なく作っていると言っても、私は一生懸命、心を込めて料理を作っています。
それでおいしいと感じてもらえるのではないかと思っています。

続く

ケーナインヒルズ物語(さて困った)

公開日:2018/09/16

数か月が経ち、ほんの少しずつお客様は増えてきましたが、料理を作るのが苦手で大嫌いな私は、プレッシャーで頭痛がしたり胃痛がしたりで、もう続けることはできないのではないかと思い始めていました。
お客様が多いと時間が掛かり、料理と料理の間の時間が空き過ぎて、お客様を待たせてばかりだったのです。

だからお客様が多いと頭の中で「できない、どうしよう」と言う焦りの波が打ち寄せては引き、打ち寄せては引いていました。
でもその波は引いて行くどころか、だんだん大きなうねりになって私を襲ってきます。
一生懸命料理を作ってはいるのですが、人数が多いというのはそれだけ多く時間がかかってしまいます。
ああ、またお客様を待たせてしまった・・・

でも不思議なことに苦情はありませんでした。
「待ちます、いくらでも待ちます。こんなおいしいものを出してくれるのですから。ゆっくり作ってください。」と笑顔で言ってくださるお客様に安堵したものです。

「待ちます。いくらでも待ちます」はよくお客様に言っていただいていた気がします。
その度に「申し訳ない、私、本当にできないのに」と、悪いことをしたような気持ちになったり、ホッと胸をなでおろしたりしていました。

中には、
「家ではこんなに時間を掛けてゆっくり食べるなんてことはありません。ここではこんなにゆったりと食事ができる。こんないいことはありませんよ。」と言ってくださるお客様もいて、救われる思いがしました。
他のお客様もニコニコしながら頷いていました。

ペットを飼っているお客様は、みなさんゆったりとした気持ちをお持ちのようです。
「ペットと泊まるペンション」にして本当によかったと何度も思いました。
人間だけが泊まるペンションなら、きっと私はこんなに優しい言葉を掛けてはもらえなかったと思います。

続く

ケーナインヒルズ物語(オープン)

公開日:2018/09/15

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沢沿いの野ブドウです。
熟すと薄い紺色や紫色になります。
この辺りでは「猫の目」とも言います。
ガンに効くそうです。
私も焼酎漬けをちびりちびりと飲んでいます。

 

さて、ケーナインヒルズ物語の続きです。
雑誌の広告は、すでに半年前に締め切りは過ぎていました。
ほとんどの雑誌が年1回の発行だということを知らず、広告というものはいつでも載せてもらえると思っていた私たちは、打ちのめされた思いがしました。
たまたま出たばかりの新しい雑誌があって滑り込みで載せてもらいましたが、雑誌と言い、掲載された広告と言い、あまりパッとしないものでした。

そして月日はじわじわと流れて行き、ケーナインヒルズもオープンの運びとなりました。
7月の終わりの吉日に私たちだけでお祝いをしました。
ワインで乾杯しただけの質素なものでしたが。
実際にオープンしたのは8月になってからでした。

長男のバイト君がオープンから1年間、手伝ってくれることになりました。
私たちは手伝ってくれとは一言も言いませんでしたが、両親のすることを見かねて彼は手伝うようになりました。
(その後、また元の会社に戻っていきました。)
掃除、パソコンなどやってもらったお陰で私たちはずいぶん助かりました。

さて、オープンしたといっても、お客様は全くと言っていいほどありませんでした。
初めてのお客様は数日経ったときに1組だけ。
私たちは一生懸命おもてなしをしましたが、それ以後来られることはありませんでした。
でも初めてのお客様の名前は今でも覚えています。

続く

ケーナインヒルズ物語(オープンまで)

公開日:2018/09/14

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どこでも見られる萩の花です。
この花が咲き出すと「秋になったなあ」と思います。

 

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ワレモコウを見ても「秋だなあ」と思います。
そう言えば故郷の大山にもよく咲いていましたっけ。

 

さて、ケーナインヒルズ物語の続きです。
建物は元オーディオ機器のアイワの保養所でした。
買付証明書はアイワに出していました。
ところがアイワがソニーに吸収合併され、私たちはソニーから購入することになったのです。

やっとのことで建物を手に入れましたが、オープンまではこれまた遠い道のりでした。
ずっと使われていなかったボイラーは動かず、リフォームは遅れ、ホームページもできていない状態で、あれもこれも手つかずの状態でした。

何しろペンション経営に関してはズブの素人ですから、何をどうしたらいいのかわかりません。
あれもできていない、これもしなければ、と頭を動かし、体を動かしてみても、ちまちました仕事が次から次へと湧いて出て、時間があっという間に過ぎて行くばかりでした。
とにかくオープンするまでにしなければならないことは山のようにありました。
でもオープンという目標があるというのは、「しんどい、しんどい」と言いながらも、その先に夢があります。
隙間から見える光を追うように、私たちはオープンに向けて突き進んで行ったのでした。

でもこの間に良いこともありました。
長女のポッチーちゃんの友人がケーナインヒルズのロゴマークや音楽を作ってくれたのです。
ポッチーちゃんにプレゼントということで、すべてタダで。

ロゴマークを作ってくれた友人は、ロゴを見ればわかる通り、とてもいい仕事をする人です。
ケーナインヒルズのロゴマークはとてもかわいくて、インパクトがあって、お客様たちにも人気があります。
さすがプロの仕事は違うと、私たちはしきりに感心しました。

音楽を作ってくれた人は事務所を通すとものすごいお金がかかるとのことで、ナイショで個人的に作ってくれました。
当時、茨城から福島に来るとき、磐越道のあぶくま高原サービスエリアで流れていた曲を聞いたポッチーちゃんが「これ、アイツが作った曲だよ」
有名な歌手の曲も、テレビCMで流れている曲も「アイツの曲」というのでびっくりしました。

このふたりはポッチーちゃんの結婚式にも来てくれて、私たちはその時初めて彼らに会ってお礼を言うことができました。

続く

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